今回は、AIからは少し離れてN2iで採用しているプロジェクト管理手法のお話です。
何かのプロジェクトに携わっていると、必ずといっていいほど、様々な問題にぶつかると思います。そしてその問題とは、関係者同士の意思疎通が足りないことから発生していたりはしないでしょうか。酷い時には、通称「ちゃぶ台返し」という現象が発生し、相当な手戻りが発生したりもします。
N2iでは、そのような悲劇が発生しないように「インセプションデッキ」と呼ばれるプロジェクトを円滑に進めるためのフレームワークを導入しています。
インセプションデッキについては『アジャイルサムライ』という本に詳しく書かれています。アジャイル開発のノウハウが詰まっている本で、インセプションデッキだけではなく、アジャイル開発プロジェクトの成功条件・破綻条件なども書かれています。詳しくお知りになりたい方は、是非購入してみてください。
本記事ではインセプションデッキの紹介が主な内容となります。
- 作者: Jonathan Rasmusson,西村直人,角谷信太郎,近藤修平,角掛拓未
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2011/07/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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インセプションデッキとは?
インセプションデッキとは、プロジェクトの全体像を端的に伝えるためのドキュメントの事で、下記の10項目で構成されます。
- 我々はなぜここにいるのか
- エレベーターピッチ
- パッケージデザイン
- やらないことリスト
- ご近所さんを探せ
- 解決案を描く
- 夜も眠れない問題
- 期間を見極める
- 何を諦めるのか
- 何がどれだけ必要か
1. 我々はなぜここにいるのか
我々はなんのためにここにいるのか、自分たちの顧客は誰なのか、始まった理由は何かを確認します。これをする事で、明確な判断を下したり、対立点やトレードオフのバランスをうまく保つことができます。
2. エレベーターピッチ
30秒以内に2センテンスでプロジェクトをアピールするとしたら何を伝えるか考えます。これをする事で、プロジェクト・プロダクトにおいて一番重要な事は何かを明確にできます。また、チームの意識を一番重要な顧客に向けさせる事ができます。
3. パッケージデザイン
何気なくめくった雑誌のページに自分たちのプロダクトの広告が載っているとしたらどんな内容がいいだろうかを考えます。これをする事で、顧客が本当に必要としているのは何かを見出す事ができます。
4. やらないことリスト
プロジェクトで実現したい物は明確になっているはずですが、やらないこともはっきりさせておきます。開発途中で追加要望が入る事はよくあると思いますが、本当に必要かどうか怪しいと思われる内容もあったりします。事前にやらない事を決めておけば、目指すべき道からずれてしまうのを防ぐことができます。
5. ご近所さんを探せ
最初から関係者をしっかり洗い出して、合意を得るようにします。合意した事を前提として進めてしまうと、プロジェクト終盤にちゃぶ台返しが発生する可能性があります。
6. 解決案を描く
チーム全員の認識が揃っていることを確認するために、概要レベルのアーキテクチャ図をかいておきます。
7. 夜も眠れない問題
プロジェクトで起きうる心配事を最初に洗い出しておきます。そうする事で、最悪の事態とは何かを明確化する事ができ、それを避ける事ができます。
8. 期間を見極める
どれぐらいの期間が必要なプロジェクトかを事前に決めておきます。事前にしっかり決めておくことで、言った言わないの話になって期日が変わったりするのを防ぐことができます。
9. 何を諦めるのか
プロジェクトにはいくつかの操作可能な要素(期間・スコープ・予算・品質)があるので、重要度を決めて何を諦めるのか明確にしておきます。プロジェクトによって、操作不可能になったりする要素があるため、事前にそれを明確化しておくと、問題発生時に修正が効きやすくなります。
10. 何がどれだけ必要か
これがなければプロジェクトは破綻するという事・物を事前に明確化しておきます。
- 期間はどれぐらいか
- コストはどれぐらいか
- どんなチームなら大丈夫か
まとめ
この10項目でカバーできない内容もあるかと思いますが、事前にこれらの項目を明確にしておく事で、プロジェクト進行時の事故がずいぶん減らせるのではないかと思います。
色々なところで紹介されているので、既にご存知の方も多いかと思いますが、知らなかった方はぜひ試してみてください。