2018年の夏は、多くのボクシング関係者の告発によって、日本ボクシング連盟が抱える各種問題が浮き彫りになりました。
中でも話題の中心となったのが、特定の都道府県出身の選手に対し、有利な判定がなされたのではないかという、判定にまつわる疑惑です。
アマチュアボクシングの場合、ノックアウトで勝敗の決着がつくことは少なく、判定にもちこまれる事が多いそうです。故に、審判が故意に試合結果を操作することができてしまうという…。
スポーツ競技とテクノロジ
人が目視で確認できることには限界があり、スポーツ競技の判定においては、古くから様々な技術が導入されてきました。
陸上においては、昭和39年(1964)の東京五輪から写真判定装置が使われています。*1
水泳では、1968年のメキシコ五輪からタッチ板が導入され、*2
翌1969年には大相撲にビデオ判定が導入されました。
渦中のボクシングも、2008年からWBCの世界戦でビデオ判定が導入されているそうです。*3
レーダー、レーザーやAIの活用で、より広範な競技を判定
現在は、さらに進んで、赤外線カメラや3DレーザーセンサーとAIを組合せることで、より複雑な判定ができるようになっています。
この試合の判定の正当性を検証するためにインゼリーロ氏が用いたのは、赤外線カメラと人工知能(AI)だ。パンチを浴びると皮膚下で内出血が起こり、選手の体表温は下がる。赤外線カメラとAIによって選手の体表温を計測することで、内出血が起こっている部分を可視化するというのである。
目視で正確に採点する負担が大きくなる中、採点支援システムは、演技中の選手に1秒間に230万回レーザーを照射し、その反射から動きを立体的に把握。人工知能(AI)の技術も生かして関節位置や体の角度、技などを自動認識する。
見た目や主観によらない判定により、圧力や忖度などといった、人による偏った判定の発生が少なくなることが期待されます。
また、こういった技術の普及により、体操やフィギュアスケートといった、技の種類や難易度が分かりにくく、採点方法が複雑で難しそうな競技も分かりやすく説明できそうです。判定に透明性が担保されることで、スポーツ観戦がますます楽しくなり、ファンや競技人口も増えるのではないでしょうか。
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