皆さん、「汎用人工知能(Artificial General Intelligence: AGI)」というものをご存知でしょうか?
Wikipediaによると、AGIは「人間レベルの知能の実現を目指したもので、他のAIプロジェクトと区別するためにAGIと呼ばれている」ようです。
人工知能は主に2つに分類されており、「強いAI」と「弱いAI」に区別されます。今回投資が行われた汎用人工知能は、「強いAI」に分類されます。
では、「弱いAI」は何を指すのでしょうか?
それは、今私達の身近にある人工知能を指します。囲碁やチェス、顔認識や顔認証など、単一の目的に対して処理を得意とする人工知能です。
なぜそれらは「弱いAI」と呼ばれるのでしょうか?
それは、「弱いAIが自意識を示したり、人間並みの幅広い認知能力を示すことはなく、最先端とされるものでも知能を感じさせることのない単なる特定問題解決器でしかない」からです。つまり、自意識を持たないAIのことを「弱いAI」と言います。
今回マイクロソフトは、OpenAIに対し10億ドルの投資を行いますが、それはAzure のインフラに投資されます。
OpenAIと共同で新しいAzure AIスーパーコンピューティング技術を構築し、大規模なAIシステムにおけるAzureの機能を拡張していく
マイクロソフトとOpenAIは、パートナーシップを結ぶことも発表し、その汎用人工知能の利用においては「誰もが恩恵を得られるよう、AIを民主化したい」と述べています。
OpenAIとのパートナーシップ締結について、MicrosoftのナデラCEOは、「OpenAIの画期的な技術と新しいAzure AIスーパーコンピューティング技術を組み合わせ、AIの安全性を最優先にしながら、誰もが恩恵を得られるよう、AIを民主化したい」と述べています。
「強いAI」として認められるにはどのような条件があるのでしょうか?
具体的なテストのひとつに「チューリング・テスト」があります。
アラン・チューリングによって考案された、ある機械が知的かどうか(人工知能であるかどうか)を判定するためのテストです。
具体的なテスト方法は、いわゆるチャットボットのように行われ、その会話はキーボードとディスプレイを介して行われます。つまり、文字のみでの交信に制限されます。
人間の判定者が、機械と人間との確実な区別ができなかった場合、その人工知能はテストに合格したことになります。
このテストをクリアするのは、非常に難しいです。
なぜなら、人間と区別ができないくらいの会話能力が求められるからです。もし、音声で会話ができる自意識を備えた人工知能を作るとしたら、それはまだ遠い先のことと考える研究者は非常に多いようです。
最近のニュースでも話題になりましたが、ある記者会見で文字起こしをするAIの、その変換能力でさえまだ曖昧な部分が多いことからも理解できます。
いずれにせよ、「強いAI」が認識され始め、今後この汎用人工知能や、マルチエージェントシステムなどが、私達の日常生活で人間と変わりないやりとりができる世界を実現するためにも、このマイクロソフトの投資は人類の大きな課題への投資と言えると考えています。