2015年のNIPSとICMLといった学術会議でAIに関する発表を行った科学者352人。これら科学者を回答者とし、研究者らは「洗濯物を畳む、言語を通訳するなどの特定のタスクを行う能力」および「トラックドライバーや外科医などの特定の職業」といった事柄に関して、AIが人間を上回るタイミングはいつか?ということ、そして進化したAIが社会に与えるインパクトについて質問を行いました。
「機械が人間の手を借りずに全てのタスクを人間の労働者よりもうまく、かつ安価に行えるようになること」が、「High-level machine intelligence(高レベル機械知能/HLMI)」という言葉として定義されました。
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まずは、High-level machine intelligence(HLMI)という単語を理解する必要があります。「高レベル機械知能」というものですが、これが開発されたら…、という前提で今回の話は進む事となります。
では「HLMI」が開発されるのはいつなのでしょうか?
HLMIが現れるまでにどのくらいの時間がかかるか?という質問に対する回答者らの回答を集計した結果、今後45年以内に現れる確率は50%ですが、今後9年以内に現れる確率は10%ほどだということが判明。
45年後に50%の確率ということです。
人工知能が人間の作業に代わって行う時代は、「HLMI」が開発されてからさらにその先になります。
では、「HLMI」が完成したとしてそれが実用化されるのはいつでしょうか?
122年後までに現る可能性が50%、20年後までに現れる可能性は10%
122年後で50%の確率。生きて目にすることはできない確率のようです。
人工知能が人間の職を完全に奪う時代は少し先かもしれません。
しかし部分的には、人間を完全ではなくても追い越す分野はあるはずです。
それぞれの職業について、「人間を越えるAIが生まれる可能性」が50%になるタイミングの中央値は以下のとおり。線の幅は予測されている期間で、黒い点がその中央値です。
縦軸は「分野」、横軸は「2016年から何年後に抜かされるか」です。
「人間が行う全ての職業の全自動化」・・・約125年後
「AI研究者」・・・約87年後
「HLMI」・・・約40年後
「数学の研究」・・・約40年後
「外科医」・・・約37年後
「パトナム数学競争」・・・約35年後
「ニューヨークタイムズのベストセラーを書く」・・・約35年後
「販売員」・・・約13年後
「囲碁」・・・約12年後
分野別にみると人間が追い越されていく分野はまちまちのようで、完全に追い越される可能性は少ないものの、40年以内にはあらゆる分野で追い越される可能性は高そうです。あくまで平均値の中央点なので一概に言うことはできませんが、追い越される可能性はかなり高いといえます。
「囲碁」「将棋」といったゲーム、文章の作成などについては早い段階で人間よりも良い作品を作る事が実現する可能性が早い段階できそうです。
チャット(会話)に関する技術については、日本でもようやく開発が進んできた段階ですので今後の実現は、上の表よりも早くなる可能性もあります。
今後の人工知能の発展は、分野ごとでみていかなければならないと感じますね!!
[1705.08807v1] When Will AI Exceed Human Performance? Evidence from AI Experts