名古屋と東京を拠点に活動するAI開発会社のN2iが、革新的なIT技術と最前線のビジネス情報をお届けします。

いま、「生成AIを活用した新規事業」に挑戦する企業が急増しています。
特に愛知・名古屋では、製造業・人材・商社・不動産といった現場を持つ企業が、AIを使って自社業務や顧客体験を変革しようとしています。
しかし多くの企業が、「とりあえずChatGPTを触ってみたけれど、次に何をすればいいのかわからない」と立ち止まっています。
生成AIを導入すること自体は簡単になりましたが、“事業として定着させる”ことが難しいのです。
本記事では、生成AIを新規事業に組み込むための具体的な進め方を5ステップで整理します。
AIエージェントやPoC支援を行うN2iの実務経験をもとに、現場のリアルなポイントを解説します。
1. 生成AIを活用した新規事業とは?
生成AIを活用した新規事業とは、「AIが文章・画像・会話などを自動生成し、人の判断や業務を補完する仕組みを使って、新しい価値を生み出すビジネス」のことです。
たとえば、次のような事例が増えています。
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製造業:熟練者のノウハウをAIでナビゲーション化
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人材業界:AI面談・AIスカウトで採用効率を改善
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商社・営業:提案書や見積書の自動生成
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不動産:AIチャットで24時間問い合わせ対応
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教育業界:AI講師・AI教材で研修コストを削減
これらはすべて、「人がやっていた判断・説明・調整のプロセス」をAIが代行・補助する仕組みです。
AIを単なるツールとしてではなく、“新しい働き方やサービスを生む仕組み”として活用することが、成功のカギになります。
2. なぜAI導入が“進まない”のか?
AI導入が進まない理由は、技術ではなく「プロジェクト設計」にあります。
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目的が曖昧なまま導入が始まる
「AIで効率化したい」と言っても、誰の業務をどう変えたいのかが定義されていない。 -
PoC(実証実験)で止まる
成果指標を設けずに試作だけ行い、評価ができないまま終わってしまう。 -
運用体制が構築されない
AI導入後の改善・管理を担う担当者が不在で、継続できない。
この3つの課題を解決するには、「技術」「業務理解」「運用体制」の3点を同時に設計する必要があります。
つまり、“AI導入=ITプロジェクト”ではなく、“業務設計+プロトタイプ検証+共創支援”として捉えることが大切です。
3. 生成AIを事業に組み込むための5ステップ
STEP1:課題仮説を立てる
「AIで何をしたいか?」ではなく、「誰のどんな負担を減らしたいか?」を定義します。
AIを導入する前に、現場・顧客・経営の3つの視点で課題を洗い出しましょう。
例:
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採用担当が応募対応に時間を取られている
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技術者教育に属人化が起きている
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顧客対応の品質が拠点ごとにバラバラ
課題を可視化することで、AI導入の“目的”が具体的になります。
STEP2:PoC(実証実験)を設計する
最初から完璧を目指す必要はありません。
まずは1つの業務テーマに絞り、3ヶ月以内で成果を検証します。
この段階では、ChatGPTやdify(ノーコードAI構築ツール)などを活用し、
「実際に動くプロトタイプ」を作って社内で試してみるのがおすすめです。
KPIは「対応時間の短縮」「満足度の向上」などの定性的指標でOK。
スピード感を持って試すことが、PoC成功の第一条件です。
STEP3:MVP(最小実用版)を開発する
PoCで成果が出たら、MVP(Minimum Viable Product)=最小実用版を構築します。
ここで大切なのは、「技術を拡張する」よりも「運用しやすくする」こと。
例えば、LINE WORKSやSlackとの連携、
社内データ(マニュアル・FAQ)を取り込んだRAG構成で検索機能を追加するなど、
実際の業務フローに合わせた“業務フィット型AI”を設計します。
N2iでは、この段階をPoC支援として最も多くサポートしています。
STEP4:スケール設計とROI評価
MVPが安定して動いたら、効果を定量的に測定します。
「削減時間 × 担当者数 × 月あたりコスト」でROI(投資対効果)を算出し、
経営判断に必要な数値を提示できるようにしましょう。
このプロセスを明確にすることで、AI導入が一部の実験で終わらず、
全社展開・新規事業化のフェーズへと進化します。
STEP5:運用内製化と改善サイクルの構築
AIは「導入して終わり」ではなく、「育て続ける技術」です。
社内にプロンプト設計・データ更新・改善フィードバックの仕組みを作りましょう。
N2iが支援する企業では、
月次で「AI改善ミーティング」を実施し、回答精度や新機能を継続的に改善しています。
こうした運用習慣が、AIを“現場の一員”として定着させるポイントです。
4. よくある失敗パターンと回避策
AI新規事業の失敗パターンは、主に3つに分かれます。
| 課題 | 状況 | 回避策 |
|---|---|---|
| 目的の曖昧化 | 目的・効果が定義されていない | 最初に「誰の課題を解決するか」を明確にする |
| PoC止まり | 実証後の事業設計がない | PoC設計時に“事業化後”を見据えたKPIを設定 |
| 運用不在 | AI改善の担当がいない | パートナーと協働して運用体制を内製化 |
成功する企業は、「AIを入れる」ではなく「AIを活かす設計」を初期段階から組み込みます。
5. 成功企業に共通する3つのポイント
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小さく始めて、大きく育てる
1部署・1業務からPoCを始め、実績を積み上げる。 -
現場主導のプロジェクト設計
現場担当者がAIに“業務を教える”体制を整える。 -
専門パートナーとの共創
内製と外部支援を組み合わせ、スピードと品質を両立する。
生成AIを事業に組み込む成功企業は、どれも共創型の進め方を採用しています。
技術・ビジネス・現場をつなぐ橋渡しができるパートナーが、成否を左右します。
まとめ:生成AI導入は「試作」より「設計」から始めよう
生成AIの技術は誰でも触れる時代になりました。
しかし、新規事業として成功させるには、“AIをどう組み込み、どう運用するか”という設計力が問われます。
愛知・名古屋の企業が得意とする「現場力」×「AI設計」の掛け算が、次の競争優位を生み出します。
まずはスモールスタートでPoCを実施し、確実な成果を積み重ねていきましょう。