(トヨタ自動車が、自動車の修理・点検業務において Mixed Reality を活用。トヨタ販売店に HoloLens 2 を順次展開 - News Center Japanより)
先日、マイクロソフトのテクニカル カンファレンス「de:code 2019」において、HoloLens 2を利用するトヨタ自動車の事例が発表されました。
自動車の修理・点検業務での活用
トヨタ自動車では、現場のサービスエンジニア (整備士) が自動車の整備作業を行う際に参照する、作業手順書・修理書という紙や Web のマニュアルが車種ごとに用意されています。これまでの紙の作業手順書・修理書は、自動車の車種ごとにあるため、数が多く物理的に場所をとる、作業手順書・修理書にイラストで記載された部品や配線図と実際の車の該当箇所を照合するのに時間を要する、作業手順書・修理書の 2D イラストでは内部の構造や、勘やコツが必要な脱着の方法などの表現に限界があり、結果として整備士にとって解りづらくなっている、といった課題がありました。
そこで、トヨタ自動車では、Mixed Reality テクノロジーによって、従来の紙や Web の作業手順書・修理書を、3D の作業手順書・修理書として実現する検証を進めています。整備士は、Microsoft HoloLens を装着し、作業を行う自動車の前に立ち、該当する車種の 3D の作業手順書・修理書を参照できるため、実際に作業を行う自動車の部位の上に 3D で作業手順が表示され直感的に理解しやすくなります。また、HoloLens を頭に装着するため、両手で作業を行いながら、デジタル情報にアクセスできます。これによって、作業の習熟度が高まり、新人や未経験の整備士でも短期間で質の高い作業が可能となります。さらに、整備士の作業技術レベルの標準化や作業品質の維持確保も見込まれています。
現在この 3D 作業手順書・修理書は、トヨタ自動車が独自にアプリケーションを開発し社内で検証していますが、2019 年内には、HoloLens 2 を導入し、3D 作業手順書・修理書をトヨタ販売店へ順次展開することを予定されています。
こちらの動画から実際の映像が確認できます。
MRにより何が期待できるか
紙のマニュアルを廃止することにより、
- 作業時間の短縮
- 作業習熟度の短期化
が期待されます。
今後AIにより以下の機能も検討されているようです。
- 作業箇所の判定
- 作業工程の間違いを判定する
取扱説明書を読んでもなかなか内容を覚えられないですよね。
さらに実例を見たり、実際のトレーニングなどをすることでようやく全体を理解することができるものです。
マイクロソフトの提案
マイクロソフトの提案動画です。 こちらでも自動車工場での作業工程を習得するためにHoloLensを利用しています。
最後に
今回他にもMR事例がないかどうか調べてみました。
現状は事例もまだ少なく、HoloLensの事例に偏っているようですが、企業の教育を中心に採用事例が広がっていくのではないでしょうか。