AIを使った診断支援ソフトウエアが、国内では初めて医療機器として承認されました。
このソフト「EndoBRAIN」はどういうものかというと、大腸の内視鏡検査で発見されたポリープの画像が腫瘍かどうかを判断し、医師の診断を支援するものです。
腫瘍が悪性の場合は、大腸がんになる可能性があります。
国立がん研究センターによると、日本では10万人あたり103人(0.103%)が毎年新たに大腸がんと診断されています。年齢別では、40歳代から大腸がんにかかる人が増え、50歳代で加速、高齢になるほど罹患率が高くなります。男性にやや多い傾向にあり、男性では胃がん、肺がんに次いで3番目、女性では乳がんに次いで2番目に多いがんです。*1
大腸がんにならないための対策として腫瘍を切除する方法がありますが、これにはその腫瘍自体が切除する必要のある悪性のものか、そうでない良性なものかを医師が的確に判別する必要があります。
EndoBRAINは、良性と悪性の可能性をパーセントで判断してくれます。(良性の可能性: 80%、悪性の可能性20%みたいな感じで)
ではどのようにしてAIが良性か悪性かを判断しているのでしょうか。
機械学習を利用して識別を実現
残念ながらコンピューターは、人間のように画像に何が写っているかを「理解」することはできません。
しかし、大量の画像データと、それに紐づく情報を学習することで、未知の画像から対象物が何であるかを「確率」として表現するができます。
EndoBRAINの場合は、事前に腫瘍か腫瘍でないかを識別した約6万9000枚の症例画像を集めて、アノテーションした(タグをつけた)ものが教師データとして利用されました。
事前に人間が判断した画像をもとに学習することで、高い正答率をもつAIが実現します。
EndoBRAINは、98.0%の正診率で、専門医に匹敵する診断精度を実現するそうです。
よりよい診断を支援するAIに
現時点では、良性か悪性かを数値で判断する前に、スキルのある専門医が腫瘍の疑いのある部分を見つけて画像を撮影する必要があります。
今後は、撮影された画像だけでなく、内視鏡で撮影している映像から疑いのある部分を見つけるなど、専門医でなくとも診断ができるように開発が進められるようです。
医師の代わりとまではまだまだいかないですが、支援するというレベルでは実現されてきています。
高齢化社会が進む中、患者数の増加など、医療現場での業務量が増大しています。
迅速で適切な診断・治療を推進するためにも、AI技術を利用して労力の必要な業務を効率化をしていきたいですね。