「スタートアップ」と聞いて思い浮かぶ場所や地名にはどんなものがありますか?
米国ならシリコンバレー、インドならバンガロール、中国なら深センといったところでしょうか。最近では、イスラエルやフランス、フィンランドといった国名もよく聞くようになりました。
これらに加えて、最近はエストニアが世界屈指のIT大国として注目されているのはご存知でしょうか?
エストニア基礎知識
エストニアの正式名称はエストニア共和国。首都はタリンで、総人口は134万人です。バルト三国の最北端にあり、フィンランド湾に面しているといえば、「ああ、あの辺りか」と想像のつく方も多いのではないでしょうか。
国内の都道府県と比較する場合*1、奈良県(136万人)や長崎県(137万人)に近しい規模感のエストニアが、ことITにおいて世界から注目されるようになった背景にはどのような理由があるのでしょうか?
必要に迫られたエストニアのIT活用
それでは、エストニアでIT産業が盛んになった経緯を見ていきましょう。
バルト3国のなかでは、エストニアがIT関連を担っており、ラトビアは自動車や造船、リトアニアは電子産業を分担していた。そのため、同国には人工知能などを研究していた最先端技術の研究所(サイバネティクス研究所)があったのだ。
行政サービスの99%が、既に電子化。結婚・離婚届けと不動産売却以外の、あらゆる行政手続きをオンラインで完結することができることから「世界最先端の電子国家」とも呼ばれます。
行政サービスの99%とはすごいですね。
エストニアはこの技術を「X-Road」という形でまとめ、世界に発信することで世界から注目されることになりました。
日本でもマイナンバーを導入し、行政の一部が電子化されていますが、その利用率、カバー率はまだまだ低い状態です。
なぜエストニアでは国を挙げて他国に先んじた政策を進めることができたのでしょうか。
政府CIOのターヴィ・コトカをはじめとして、政府系機関の要職に就いている人の多くが、エストニアを代表するスタートアップ起業家だった人たちです。そういう人たちが政府の中枢にいれば、国家自体がスタートアップ的になるというのも自然な帰結ではないでしょうか。
歴史的にも、独立してからそこまで時間が経っていないエストニアという国の置かれている状況がスタートアップ国家を生み出したようです。
こうした取り組みは、デジタル社会のロールモデルとして世界各国から注目を浴びている。人口130万人ほどのこの小さな国家に、年間で1000を超える政府や専門家の視察団が訪れているのだ。
そして、自分たちの持つ知見を惜しみなく公開することで、世界にエストニア基準を展開していく。
"We have built a digital society and so can you"
1997年にスタートしたエストニア政府の電子化に関する取組みは、こちらにまとめられています。
「私たちができたんだから、あなたもできるよ」
人も国もやらねばならない状況に置かれて、自分の守備範囲を決めることなく幅広い仕事の幅を強いられるくらいがスキルレベルを高めるためには必要なことなのだと改めて思い知らされました。
これからもエストニア政府やエストニアスタートアップの動向に注目したいと思います。
おまけ。
エストニア政府の人工知能に関する考え方についてはこちらをどうぞ。
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